2017年、双子を出産してから、このシリーズははじまりました。母であることと、感覚の共鳴が、いかに静かに「自己」と「ケア」のあいだの境界を塗り替えていくかを探っています。

2017年、私という存在の輪郭が、静かに溶けはじめました。母になることは、深い喜びをもたらしてくれましたが、同時に自己の静かな浸食でもありました。かつて私を定義していた距離は消え、感覚を満たす絶え間ない近さに取って代わられていきました。

私が写真に向かうのは、家族の日常を記録するためではありません。母という役割と、私という核のあいだに横たわる、見えない境界線を辿るためです。アナログフィルムで撮影し、シャッターを切るのは、その瞬間の中に自分自身をたしかに見出せたときだけ。カメラは、親密さという圧倒的な喧騒のなかで、自分として息を吸える場所を探す手がかりになっています。

光と影を通して、これらのイメージは揺らぎの状態を記録しています。形は浮かび上がり、また沈んでいく——光の中に溶けこみ、あるいは暗闇へと還っていきます。失われたと思っていた自己は、消えてしまったのではなく、時間と、触れ合いと、近さのなかで、かたちを変えながら在り続けていたのだと、今は感じています。

この作品は、壊れやすい均衡を保っています。母であることと、一人の個人であること——そのあいだの空間に、静かに、絶えず揺れながら、私は存在し続けています。

選定作品は限定版アーカイバルプリントとしてご提供可能です。

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The Illusion of Us

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